アスベスト処理を掲げた全国初のクラウドファンディング
歴史的鉄道車両の修復保存を目的として、多くのクラウドファンディング(CF)が取り組まれているなかで、私どもが取り組んだのは北海道専用の急行列車として開発されたキハ27です。寒冷地仕様車両として様々な特徴を持ち、特に断熱耐寒性能を高めるために大量のアスベストが使われています。今後の保存公開を進めるためにはアスベスト対策が不可欠と考え、「アスベスト除去」を前面に打ち出してCFを立上げました。
苦戦した「第一目標額600万円」達成までの45日
第一目標額は600万円に設定しました。この金額は台車につながるボディー部床下のアンダーシールを除去の費用です。しかし、この金額がなかなか集まりません。達成したのは8月18日、CF開始から既に45日が過ぎ、残り12日というタイミングでした。途中では目標額を達成できないことも覚悟しました。
600万円達成後、残り12日間で劇的な支援拡大が
第一目標額を達成すると事態は一変しました。それまでのペースからは考えられないスピードで、24日に700万円突破、28日に800万円突破、残り2日となった30日に900万円突破、そして最終日には予想もしていなかった1000万円を突破してしまいました。
第一目標額達成前後で、何が起きていたのか
第一目標額達成の前と後では事態は全く違っていました。予想はしていたものの、「アスベスト除去」を掲げることへの違和感は大きかった。鉄道ファンの間には、「環境負荷物質を抱えている」と公言することを懐疑的に考える傾向があったのかもしれません。私どものCFは前年に引続き2回目でしたが、1回目の支援者からの支援が伸び悩みました。それに代わって環境問題や自然環境に関心を持つ人々の支援が目立っていました。そして、第一目標額を達成すると、今度は一挙に鉄道ファンからの支援が急増しました。アスベスト除去に止まらず、板金塗装まで進むことが見通せたことが支援の拡大を呼んだと思います。
先駆けとしての責任を果たし、全国的拡大を期待する
無謀と思われる、苦戦も覚悟の上とはいえ、「アスベスト除去」を掲げたCFを成功できたことは、先駆けとしての責任を果たせたと考えています。私どもの取組みを前例に、全国で保存活動に取り組む皆さんが「環境負荷物質の除去」に踏み出されることを期待しています。CFがそのために武器になることを証明できたと思います。
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